再会

2008 6月17日

久しぶりの再会だった。カオルという名前の男だ。大学で仲が良かった。なんでも無茶をやる奴で最初から随分気があった。

実は当時彼が狙っていた女性を俺がいきなりつき合い、ややこしいことになった。いろんなことがあった。俺も馬鹿なことをした。その女性とは3つ年上で俺が二十歳から4年もつきあった。めったにいない素敵な女性で、結婚も考えたが別れた。このときも彼女は別れが絶対的なことだとは思っていなかった。俺にとって別れは絶対だった。カオルとも別れた。

彼の名前を久しぶりに見たのはネット上だ。AMAZON.COMに著作が出ていた。そうか、あのままライターの仕事続けてたんだな。少しうれしくなって連絡した。横浜で執筆の会社を経営していて大学当時の彼女と結婚していた。子供も2人いるみたいだ。歌舞伎町で再会した。格好も相変わらず。長髪にヒゲを蓄えレノングラス、年中アロハシャツを着ているらしい。素直に俺が美術をやっていることを喜んでいた。個展にも来てくれたし作品も買ってもらった。昔の話になった。俺の別れた彼女は実家に帰ったまま、地方紙の堅物の記者と結婚して子供を2人生んだと言った。静かに話を聞いていたが、俺はそうか、とひと言いった。お互いなにか言いたげな表情を浮かべたがなにも言葉にできなかった。そしてそのままただ酒を飲んだ。