池田さん

2007 12月19日

池田さんとは池田満寿夫のことだ。たまたま京都のギャラリーに行ったついでに近代美術館でやってたので立ち寄った。

彼を知ったのは映画「エーゲ海に捧ぐ」のエロ監督としてだ。ガキだった自分にはただそんな風にしかみて取れなかった。高知の文化ホールに講演に来て観た記憶もある。まあ芸能人、文化人みたいな印象で画家なんぞとは思わなかった。はじめて彼の絵をまともに観たのは鈴木成一の装丁による本の上でだった。「マルドロールの詩」「マダムエトワルダ」などに使われてた彼の絵はめちゃくちゃかっこよかった!こんな絵を描くんだ。新鮮な衝撃だった。それが確か、二十代の中盤だった。十五年経ってひょんなことから初めて現物を拝見することになった。絵描きの端くれとしてはあのエッチングは本当に見事だと思う。満足はしたが、それでもあの「マルドロールの詩」で使われていた衝撃には及ばなかった。不思議なものだ。

しかしあの線(ライン)はすごい。神経に来るような、華麗でシャープで残酷な線。