由紀夫

2005 1月21日

由紀夫といっても鳩山じゃない、三島由紀夫だ。この名前を出すと危険な臭いを発するらしい。まあ最後があれだから無理もないか。

澁澤龍彦経由で読むことになった。最初があの「午後の曳航」。そして「金閣寺」から「獣の戯れ」からなにからむさぼるように読んだ。彼の像に対し自分が誤解していたのはすぐにわかった。右翼などではないモダニストの姿がそこにあった。美しく妖しい詩人であり、美のためなら命を投げ出すような芸術家の姿。そして明晰な頭脳。この世のからくりをすべて知っている人間。難しい作品とはいえない、どれも時代を意識しているしポップ。

大勢の人たちと同じようにあの最後と作品は結びつかない大きな謎だ。でも一つだけ。

肉体と頭の葛藤が彼には常にあった。あの筋肉は頭が創ったもの。最後は頭が肉体を制圧したということか。天皇もなにもかもアリバイ?どれが正解かはわからないし、それはたぶん本人にもわからない。しかし事件は風化するが作品はいつまでも残る。正確に評価できるのはその先にあるのかもしれない。