シュニッツラー

2005 1月

キューブリックが好きだったからもちろん「アイズ.ワイズ.シャット」は一番に観た。期待も大きかったからへこんだ。映像も音楽も素晴らしいので原作が悪いと思って「夢小説」を読んだ。そしてその考えが間違っていることはすぐにわかった。

こんな小説は読んだことがないし多分今後もないだろう。ここには真実がある、そう思った。夫婦間の性の問題を描いたんじゃない。現実と幻想と夢を等価に扱っている。それは養老せんせいの言うように脳化された現代その世界だろう。ということはこの先もこの作品は生き続ける。そして鋭利に切り取られた人の心理の残酷な真実。映画にモノローグがないことが心理的葛藤を露にしなかった。そして最も重要なキーワード「デンマーク」。この言葉で幻想が現実にリンクする。映画でこの言葉は変わっていた。

シュニッツラーのこの小説は何度も読み返した。