ゴダール

 2022年 9月15日

 ゴダールが死んだ。

 ずいぶん高齢だったけど、尊厳死、合法的自殺らしい。まああの人らしいか。多作でまだ作ってる?と驚いた記憶があるから、作れなくなったか、やりきったのか。
 いくつか作品観たけどほとんど眠い作品ばかりだった。難解というより、放り投げてる感じの作品が多かった。しかし「気狂いピエロ」は何百回観たかわかたない。他の作品は一回くらいしか観てない。だからゴダールといえば「気狂いピエロ」。17歳の自分には監督もなにもわからないまま衝撃だけ受けた。
 高2の頃に名画座で観た衝撃はいまだに忘れない。映画でこんなことしていいのか!?衝撃と驚きがあった。詩情のあるセリフ、色彩感覚、編集、構成なにもかも。即興と言われる作風もよく見ると、伏線があったり、カメラワークなどきっちり構成もしているしたたかさ。しかしやはりベルモンドとアンナカリーナの魅力が満ちている。その後の作品に一切興味がなくなったのは、演者がパッと見て惹きつけられる対象がいなかったことが大きい。そうなるともうゴダールファンのための映画で、タイトルもゴダールのなんちゃらとかつきはじめた。それにしても別れた妻のアンナカリーナに対する思いを元夫が監督するとは、お互いどんな気持ちだったのか。最後にはアンナを劇の中で射殺して、主人公のベルモンドも爆死した気持ちとは?映画公開がまさに離婚の年だったのを後で知った。この作品が彼の中でも一線を画しているのは、この個人的思いの強さだと思う。
 
 数年前にアンナは死んだ。やはり思い残すことがないかもしれないな。