竜馬がゆく

2008 4月8日

友人の画家の荒木が面白いことを言っていた。人間は三代でなる。そんなことを。まあ一概に言えないが、今の日本人が縦軸のない点であることが孤立であり、不幸なことでもあるから、興味深い指摘だった。

そんなことを思い出したのは、久しぶりに「竜馬がゆく」を読んだからだ。土佐人としては龍馬という名前には複雑な感情がある。内実を知る前にあまりにも有名すぎて妙に斜に構えた見方しか出来なかった。坂本龍馬?なんぼのもんじゃい!そんな感じだった。22歳で大事故にあって入院したとき、はじめてかの小説を熟読した。素直に感動したしダイナミックな歴史と熱い群像劇に痺れた。司馬の筆は新聞記者の出身だけあって、資料をうまく取り混ぜて客観的な視点を交えて描写するので現代人にはとても理解しやすい。そしてやはり龍馬の人物像だ。さわやかでダイナミックで現実主義者であり愛嬌のある男。多分司馬の資質に近かったんだろうな。あれから何度も読み返したが、今回は十年ぶりくらいに読んだ。おもしろいのは自分が京都に随分詳しくなってから読んでいるので、地名や行動がよりリアルに響いて来るということだ。