自由

2011 10月17日

自由。小学校かなんかの卒業の寄せ書きに書いたっけ。

あの頃は人間は自由こそ大切なもので、個人で考え生きることが最も大切で尊いと信じてた。大学に行ってから人生とは何ぞやと思ったし、探す旅路こそが人生と思う時期もあった。通った物語は自由、解放、個人の生き方、そんなものばかり謳ってた。友人たちと朝までつきることのない議論を繰り返し、無軌道な旅をこそ自由だと言い合ったり。それはいいことと悪いこと、両方体験することになった。現実の社会はそうじゃなかった。青い鳥は探せば探すほど逃げてゆく。現実の自由は解放なんかじゃなかった。自由は責任をもつことであり、大変に重いものだった。黒澤明の映画「わが青春に悔いなし」の中での台詞は今でも忘れない。教授の娘が戦時下に反戦運動家と駆け落ち同然で結婚をして苦難の人生に歩みだす。出てゆく娘に父は「華やかにみえる自由には苦しい犠牲と責任があることを知れ」と言って送り出す。その後ずいぶん時が経ち、その意味を本当に体感することになる。

自由とは、ほんとうに厳しいものだった。