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画家。人を描くことを主体に活動している。インスタレーションなどのダイナミックな展示から小品まで幅広い展示方法が特徴。主にシンプルな素材で力強い作風で描き上げる。近年では様々な手法で新しい表現に挑戦を行なっている。
人と対峙して描く「1×1プロジェクト」を中心に活動。ギャラリー21+葉 ギャラリイK ギャラリー16 gallery wks.など多数で個展。神戸などを中心にライブペイント活動も行う。
2010 2月14日
「千光士いうたら安吉さんところかね」
不動産やの年配の女性はそういった。「はい、盛作の孫です」安吉はひじいさんになる。「わたしも遠い親戚になるぞね」このあたりは狭い。すぐに知り合いにあたる。「山を持ってるんですが、このあたりはどんなもんでしょう」「場所によるきねえ」場所によっては二束三文の場合も多いらしい。親父が売り飛ばしているかもしれないが、場所が特定できない。中学生の間まではおやじとよく行ってた。おもにたけのこを取りにだったが、もともとはじいさんが紙すきの仕事の絡みで買ったものかもしれなかった。立派な木が何本もあったが、おやじの管理がずさんで竹林になりかかっていた。ああなると材木が資産になることは難しいだろう。
どのくらい山を登ったか忘れたが、ある場所からの区間だけを所有していた。そこから頂上までが千光士のものらしい。湧き水に千光士水と称して二人で飲んだ思い出がある。場所は市役所で調べることが可能だとわかった。
「どうやったぞね」「後で見積もりを送ってくるらしいき」「まあ、あんたの代に変わったき自分らあで運営していきなさい」「あんた佳子さんにお野菜を持って帰りなさい」母はそういって近くのスーパーで買ってきた安くて新鮮な野菜をかばんの中にねじ込む。「おもうなるき、あんまり入らんきよ」「あんた、佳子さんのためにも無理して持っていっちゃりなさい!」だいたい帰り際にはこんなやりとりが常だ。
母の子供の頃を描いたクロッキーを本人がずいぶん気に入った。
それを帰り際に額に入れて帰った。
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