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画家。人を描くことを主体に活動している。インスタレーションなどのダイナミックな展示から小品まで幅広い展示方法が特徴。主にシンプルな素材で力強い作風で描き上げる。近年では様々な手法で新しい表現に挑戦を行なっている。
人と対峙して描く「1×1プロジェクト」を中心に活動。ギャラリー21+葉 ギャラリイK ギャラリー16 gallery wks.など多数で個展。神戸などを中心にライブペイント活動も行う。
2008 12月12日
残酷の意味について聞かれた。
若い女性と話したときのことだ。あなたが残酷と思うことはどんなことですか?そんな風に尋ねた。殺人事件とかでしょうか?ひどい殺されかたをした人とか。…僕は人の噂とか、いわれのない中傷とか、ひどい陰口とかを残酷だと思います。そう言うと、彼女は目を開いてうなずいた。
他人の視線は残酷だ。その中で自然に素直に自分らしく生きることは難しい。気がつくと人の視線ばかり気にして生きる。自分も残酷な視線のひとりになる。自分が人目にさらされるのを誰もが恐れる。
個展を開催してしばらくは不安だった。特に美術屋の残酷な視線を知っていたからだ。妻は無垢に満足げだった。最初年配のオヤジばかり来て、芳しくない反応だった。そのことは妻を傷つけた。彼女は作品と一体化していたのだろう。自分たちの恥ずかしい行為をさらけ出して評価されない。それはただの作品への批判より深く傷つくだろう。そのリスクはもちろん最初からあったし覚悟はしていた。評価されなかったり中傷されることは、下手をすると自分たちの関係にも陰をさす。本当にそれは残酷な結果を生む。多少の動揺を隠して観客の反応を冷静に眺め続けた。
生々しい。
誰かがそう言った。 作品がストレートに伝わる実感が持てたのは三日目のことだった。
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