その後の話

2012 3月18日

妻の話のその後。

あれから何年かに一度の兵庫県立ち入り監査で極端に忙しくなったらしい。その緊張状態に社内は緊迫したという。連日遅く帰って来て大変そうだった。その監査を終えすっきりした顔の嫁さんと週末行きつけのイタリアンでランチをした。

「達成感があった」よかったなと言った。「あのうるさい子らも協力してくれたよ。素直にありがとうと言ったし。それとこれは違うしね」かなり力が抜けた表情だ。「やめなくてよかった」妻はそう言った。今までいろんなことがあった。10年以上続けた医療機器の会社を辞めて化粧品の品質管理に飛び込んだはいいが、何度となく窮地に立たされた。自分で言うのもなんだが、その都度真剣に話し合ったしどうしようもない場合は辞めてしまえと言った。だからこの言葉は重く響いた。自分の仕事に誇りがあり評価もある、そんな機会に恵まれる人は少ないと言った。「前の会社で最初の上司に、自分はこれだと言えるものを身につけろ、と言われた。2番目の上司のときは辛かったけど今思えば勉強になった」と言う。ちょうど実家から野菜が送られて来て、嫁さんは電話で母と姉と会話した。「わたしも勇気がないからうるそうてもそんなこといえんわ」姉はそう言っていた。

このまえの流れで黒澤の「わが青春に悔いなし」を一緒に観た。二十年ぶりに観たその映画は今でも素晴らしかった。見終わった後に妻に感想を聞いた。すると妻は「想像以上にすごかった」とつぶやいた。

人の生き方というものは何も変わっていない。