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2014 9月2日

ダヴィンチが他分野で優れた業績を残したと言えるのはまず解剖学だ。

当時の芸術家が解剖に精通しているのは当然だったが、精緻な洞察と図に現す優れた表現により後世に大きな足跡を残した。次に重要なのは軍事顧問や政治顧問としての顔だ。こちらは城壁の設計から武器の設計、大掛かりな機械の設計まで多岐にわたる。

ただしこれは現実化するための設計ではないがその段階でお金を受け取っていたわけで、彼の担当はそこまでと言えるかもしれない。機械に関しては解剖による応用と考えれなくもないし、繊維機械の設計での報酬まで想定しているだけにクライアントのニーズも汲んでいたに違いない。実際こうしてみると当時花形で社会的地位も高い高給な軍事アドバイザーという職種には、嬉々として取り組んでいたと思う。また音楽家や劇場プロデューサーとしての顔まであり宮廷としても使い勝手のいい才人だっただろう。結果的にこの膨大なスケッチはそういった仕事での側面が強い。それだけに意外に独創性はさほどないようだ。それを後世の人がメモだけを見て万能と称した。芸術の延長としてとらえられたことがある種の誤解を生んだ。ただいずれの分野もその掘り下げる深さは追随を許さないものがあるのは間違いない。そしてミクロな解剖から軍事まで関わることで人や社会に対するものの味方の幅と深度があの作品に結果として現れていることも間違いがない。

こうして見ると金も社会性もあって、秀麗な容姿まであり、芸術家でもあるこいつは、相当イケてる、出来る奴であり、本人の性癖は別にして男女関わらずモテたのは間違いない。そういう男の作品がこうまで語り継がれると言う事実。

それは芸術家と言うステレオタイプのイメージを考え直すいい材料になるだろう。