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画家。人を描くことを主体に活動している。インスタレーションなどのダイナミックな展示から小品まで幅広い展示方法が特徴。主にシンプルな素材で力強い作風で描き上げる。近年では様々な手法で新しい表現に挑戦を行なっている。
人と対峙して描く「1×1プロジェクト」を中心に活動。ギャラリー21+葉 ギャラリイK ギャラリー16 gallery wks.など多数で個展。神戸などを中心にライブペイント活動も行う。
2016 4月26日
このエッセイでは二回目になる。
母の作品を描きあげて、なにか映画を観たいと思った。探してたら1978年の「人間の証明」のドラマ版に目が止まった。再発しているのに驚いた。あの頃は12歳くらいでテレビ版のほうはおぼろげな記憶しかない。棟居が林隆三だったのも忘れていた。俳優も豪華で、高峰三枝子、多岐川裕美、岸本加世子、篠ひろ子、戸浦六宏、岸部シロー、橋爪功、佐藤慶 などなど。脚本は早坂暁で丁寧に描いていた。
林隆三のモノローグと岸本加世子のモノローグで進んでゆく。進駐軍の米兵と日本人女性の間に産まれたGIベビーは少なくとも2、3万人は存在するだろうと言われていた。もちろんレイプで望まれない出産をする子どもも多く、横浜にある根岸外国人墓地に800-900体ものGIベビーが埋葬されているそうだ。
母親から捨てられた主人公の林隆三と、GIベビーを捨てた高峰三枝子。物語はその二人を軸に重厚で複雑に絡んでゆく。映画より主人公の林隆三の思いが静かにしみ込んでゆくし、 高峰三枝子の娘役の岸本加世子の目線が映画にはないものだった。やはりこの1978年のドラマが一番深く描いていると思う。
ただ高峰三枝子の告白では泣かなかった。泣けたのは自分を捨てた母と林が対面したときだ。毒のような化粧をしてやはり米兵相手に水商売を営んでいる母は、暴れて出て行こうとする息子に謝罪の言葉をかけるわけでもなく、その化粧をすべて落として醜い年老いた素顔をさらした。 もう二度と会うこともないから本当の姿を見てほしいといって。
母を描いた後に、この母と子のドラマをみることになったのは偶然ではないだろう。
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