同士

2008 12月19日

コレクターの田中恒子さんが個展にも来た。今回は次の企画、ガソリンのスポンサーの話もあったので少し意味合いが違った。まったく無名の頃の奈良美智や村上隆なんかを所有していたりして雑誌やテレビで紹介されることも多いが、今では本人はその説明を嫌がる。投機目的のコレクターと思われるのが嫌なのだ。どんなに優れた作品でも部屋にあわなければ買わないというポリシーを持っている。それは京大で住宅学の教授としてのスペシャリティだった自負もあるだろう。著作も多いし、自宅も彼女が設計したものだ。最近では数億ものコレクションを和歌山の美術館に寄贈したらしい。京都に住んでるのだから京都の美術館でいいじゃないか、と思うが、保存や展示など総合的に和歌山が信用出来ると判断したらしい。日本を代表するコレクターでいいんじゃないか、と思うが、東京には似た人がいるらしいからという理由で関西を代表するコレクターでいい、という。まあこんな風に一つ一つ手強い。

今回の企画では一も二もなく賛同して資金提供してくれることになった。「私が推している作家にはそういった形でも応援しています!」という。「あなたみたいな作家はほかにいないよ。いろいろ見て来た私が保証する」ともいう。今回の個展を見て「あなたは本当に独自の道を歩んでいる」と言った。三十年ほど現代美術の世界を見て来た彼女だが、やはり最近の風潮には否定的だった。金で美術も若い人も翻弄され利用されている。そこには真剣な怒りがこもっていて今までにない表情があった。友人から同士になったと俺は勝手に思っている。最後に彼女はこう言った。

作家は、アーチストは、職業や仕事ではなく生き方です!